深圳出張レポート

製造業系展示会に訪問するために深圳に出張したためその記録。

深圳の雰囲気

  • 地下鉄が便利。網目上に路線(確か20路線)くらいあって、乗り継げば基本どこへでもいける上に安い(初乗り50円くらいだし40分くらい乗っても200円くらいの感じ)
  • ビジネス街やショッピングモールなどがある中心部は丸の内とかみたいな感じ。香港が近いからもっと英語が通じるのかと思っていたけど、基本英語は通じなかった。
  • 中心地大きなビルは大体金融系企業のロゴが入っていて、メーカー・重工業とかの看板・ビルは見当たらなかった。製造系の企業はちょっと外れたとこにあったっぽい。
  • 日本車はレア。外車はBMW、アウディ、たまにベンツ・ポルシェの感じで、あとはBYDやおそらく中国車であろうしらないロゴ。BYDのEVタクシーも試しに乗ったけど、乗り心地はいい(運転手が芸人のチョコレートプラネットの長田そっくりの感じのいい人だった)。
  • Googleとかが使えないとは聞いていたけど、ここまで情報の遮断に成功しているとは思わなかった。Google Mapがめちゃくちゃで使い物にならなかったり、通信がうまく行かなかったり。試しに深圳のドコモショップ的なところで中国の携帯番号作ってみようとしたら、店の人が総動員で調べてくれた。結果中国携帯番号のスマホが作れた。
  • 中国人は心の底から他人に興味ないんだろうなと思う一方、こちらが一生懸命質問とかすると結構世話を焼いてくれた。仕事上話す人間も、街中で話す人間も総じて親切だった。一回だけ、注文の組み合わせが変だったのか食堂のおばさんに苦言を呈された(気がした)。

産業(仕事の話)

  • 「俺たち(中国)は最早世界No.1大国だから日本なんて眼中にありません」みたいなスタンスなのかなと思っていたけど、必ずしもそうではなさそうだった。今中国製造業界の実権を握っている50台前後の人が日本との事業で大きくなった経緯が少なからずあるからだとは思う。
  • 展示会には欧米系の企業がほとんど出展していなかったのは意外だった。日本の主要メーカー(ファナック・ミツトヨ・京セラ等)は出展していたけど、深圳ってもっと国際的な注目を集めている都市(特に製造業においては)だと思っていたから本当に意外だった。多分自分の認識が間違っているところがどこかにある。
  • 製造業の発展段階は;
    1. 先進国の下請け機能として、先進国の設備(工作機械とか)を導入してその先進国が完成品を作るために必要な部品をひたすら供給する
    2. 材料・工具から始まり、工作機械や産業用ロボットのような複雑なものへと、構造が単純なものから順に自国ブランドが勃興・乱立してくる
    3. 車に代表されるような完成製品が自国サプライチェーン内で完結して製造できるようになる
    4. 乱立した自国ブランドの中でも淘汰が進み、分野ごとに一定のシェアを分ける生き残り企業群(3-4社くらい)が構成される(日本は結構前からここだと思う。行く前は中国もここにいると思っていた
    みたいな流れになっていて、中国も既にステージ4にいるものだと思っていた。つまり、分野ごとに淘汰が進んだ成熟市場になっていると思っていた。が、実際に行ってみると全然淘汰は進んでおらず、地場の会社(深圳○○有限公司とか広州○○有限公司みたいな土着の企業)が自社ブランドをわいわい言いながら宣伝しているような状況だった。
  • 何が言いたいかというと、中国の製造業はその質も高くなって日本を抜いたと言っていいと思うが、市場として成熟しきって抜いたわけではなく、まだまだごった煮の状態で、更なる集約・効率化の余地を残した状態で日本を抜いたんだということを感じた
  • 展示会の出展内容は製造真正面の内容(もの、作ります!)しかなくて、日本の展示会でよく見る「業務効率化」「環境配慮」みたいなお題目の出展は皆無。

全体の感想

  • 中国の街も産業も、最後の1滴まで絞り出してる感が全くなくて、まだまだ余裕ある国なんだなと感じた出張だった。
  • 街を歩いていると、中国国内でいまだに真っ向勝負のストロングスタイルで勝ち残っている日本企業はサンリオ・ジブリ・各種漫画くらいで、「めっちゃかわいいキャラクター作って世界中にキャラグッズ売る!」とか「日本の学園青春もののテイスト取り入れたコンセプトカフェを海外で展開させる!」みたいな(自分たちの発想としては)明後日の方向に向かい始める方が本当は事業的にも筋が良いんだろうなと薄々感じている。